2006年8月1日
*世界の食卓から(第66回):あまいもの

 今、石油の価格が高騰している。これがお菓子を危機にさらしているという。
 サトウキビから絞り出した液を使い、人工でエタノールを作る。砂糖用のサトウキビがエタノールの原料として使われているのだ。砂糖の価格が上がってくると、和菓子の値段も上げざるを得ないそうだ。

 各国で様々な甘い物を食べた。パリのチョコレートも、ブリュッセルのチョコレートも、イタリアのジェラートも美味しかったが、どれも「季節」を感じ取るものではない。私が今まで行った外国では、旬のものを使ったお菓子(パンプキンパイなど)はあるが、季節に合わせたお菓子、というものはない。

・地蔵盆
 小さい頃から、近所の神社の前にあるお地蔵さまの前でお菓子をもらえるイベントを楽しみにしていた。8月の終りにやってくる「地蔵盆」だ。地蔵盆は京都が発祥で、近畿地方の行事として行われてきた。北陸や新潟、長野周辺では盛んに行われているが、東海・関東にはほとんどない行事だ。先日、広島の友人に地蔵盆の話をした所、「なにそれ?」との返答。中国地方でも行われていないらしい。普通に日本全国で行われていると思っていたが違った。

・川魚のお菓子
 「若あゆ」という和菓子を聞いたことがあるだろうか。小麦粉・卵・砂糖で皮を作り、中に求肥を入れ、挟み、焼き印であゆのひれ、えら、目をいれたもので、私の好きなものの一つである。
  先日、広島の友人に「若あゆ」をお土産に買い、「まあ、特に大阪でなくても売ってるけど」と言って渡した所、「こんなの、広島にはないよ」とのことで、地方限定の食べ物だと知った。
 京阪神では求肥を挟んだものをいうが、関東では中に餡をいれているものが多いらしい。柏餅、粽の季節が過ぎると、和菓子屋さんの前に「若あゆ」という文字が書かれる。私はこれは「草餅」と同様、日本全国、どこの和菓子屋さんでも購入できるものだと思っていた。しかし、これは地方によっては売っていないものらしい。
 「若あゆ」の売ってない地方の和菓子屋さんでは「粽」の次、どんな和菓子が売られるのだろうか。

 日本には季節により、様々な菓子がある。材料が収穫される時期に関係なく、その季節に合ったお菓子(例えば、桜餅、なんて材料だけ考えると桜の季節でなくても作ることができるが、桜の時期しか売っていない)。季節を和菓子で感じる日本人の感性を大切にしたい。