2006年3月1日
*世界の食卓から(第61回):牛乳2

・赤ちゃんのためのもの
 前回書いたように、ミルクとは、哺乳類の赤ちゃんがが餌を食べられるようになるまで、命を繋ぐ食べ物だ。当然、赤ちゃんがミルクを必要としなくなればお母さんのお乳は出なくなる。それは人間も同じだ。
 では、なぜ私達はいつも牛乳が飲めるのだろうか。考えたことがあるだろうか。

・牧場にて
 雌牛は生まれて2ヶ月後離乳する。その約1年後には最初の受精。優秀な雄牛の精子を試験管で運び、受精させる。人間と同じく約10ヶ月の妊娠期間を経て出産。それからようやく搾乳期間が始まる。10ヶ月ほどの搾乳期間を経て、その後、しばらく休憩期間が約2,3ヶ月あり、再び、受精。これを一生に5回ほど繰り返し、乳牛は役目を終える。
 妊娠させるのだから当然子牛が生まれる。この子牛、雌だった場合は乳牛として活躍できるが、雄だった場合はどうなるのか。乳牛の肉は食用には向いていない。食用になる雄牛もいるが、殺される雄牛もいる。
 ちなみに分娩後5日間の乳は子牛に免疫を与えるためのものでタンパク質が特に多いため、発売が禁止されている。

・乳の季節

 野菜に旬の季節があるように、牛乳にも季節が関係する。
 暖かい季節と寒い季節では、乳の量が全く違う。暑い季節には量が減る。また、牛たちが青草を食べる春・夏は乳脂肪分が少なく、冬場には乳脂肪分が多くなる。

 インドのガンジーは、果物と牛乳しか、口にしなかったそうだ。理由は「食べてほしいと願っているもの。それ以外のものは食べられたいとは思っていない。」からだそうだ。
 果物は食べられて糞により運ばれることを願っており、牛乳は子どもに飲んでほしいと願っているものである。
 それらが「人間」に食べてほしいかどうかは難しい所である。みなさんも、普段、何気なく食べているものについて少し、考えてほしい。