2006年2月1日
*世界の食卓から(第60回):牛乳

・ミルクとは
 今からおよそ1万年前、ホモサピエンスが羊か山羊を肉のために家畜化し、やがてミルクの利用を始めたと言われている。牛の家畜化は約8500年前中東で始まり、その頃すでに羊・山羊・豚などは家畜化されていた。日本では645年、百済から伝わり、701年に大宝律令で都の近くに酪農家が集められ、皇族用の搾乳場が定められた。984年、日本で一番古い医術書「医心方(いしんほう)」には「牛乳は全身の衰弱を補い、通じをよくし、皮膚をなめらかに美しくする」と記されている。

・牛乳とは
 牛乳とは読んで字のごとく、牛の乳だ。人間の子どもがお母さんのお乳を飲むのと同じように、牛の子どもの命を繋ぐ飲み物である。そう。「乳」とは哺乳類が子を育てる為に唯一自ら生産する食料だ。
 しかし、それを他の動物が飲むことがあるだろうか。例えば牛の乳を馬が飲む、とか犬の乳を猫が飲むとか。たまに、そのような例外を聞くこともあるが、わざわざ他の動物の乳を飲んでいる動物はいない。人間だけである。

・牛乳と人乳の違い
 (100gあたり)
人乳 牛乳
エネルギー 65kcal 67kcal
タンパク質 1.1g 3.3g
脂質 3.5g 3.8g
炭水化物 7.2g 4.8g
カリウム 48mg 150mg
カルシウム 27mg 110mg
リン 14mg 93mg
マグネシウム 3mg 10mg
 ヒトは体の成長に対し、頭の成長速度が早いので、牛よりも炭水化物が多く必要で、逆に牛乳には体の成長に必要なタンパク質が多く含まれていると考えらる。
 「乳」はその生物の成長に必要な成分が含まれている。
 通常、その生物も生長とともに乳は口にしなくなる。人間もそうだ。牛の子どもでさえ、成長とともに口にしなくなる牛乳を人間が飲む。これはどうなのだろうか?
万能食品のように言われている牛乳。たくさん飲めば良いというものか疑問に思うのは私だけだろうか。