2005年12月1日
*世界の食卓から(第58回):トッピング

・赤紫の食べ物
 
私がバックパックで旅行する時、いつも持ち歩いているものがいくつかある。ビーチサンダル、万能ナイフ、箸、マスク、米、味噌汁のもと、などなど。その中の一つに「ふりかけ」がある。
ふりかけはもちろん外国では買えないので、一種類持って行ったらずーっと同じ味。私がいつも持って行くのは、「ゆかり」ふりかけだ。

・オススメのゆかりちゃん
 「ゆかり」とは、三島食品が開発したふりかけのこと。梅干の中に色付けのために一緒に入れている赤しそが食欲をそそることに気付き、赤しそを調味、乾燥させたもの。商品名の「ゆかり」は古今和歌集の中の歌の、「紫のひともとゆえに むさし野の くさはみながら あはれとぞみ」(むらさき草が一本咲いているというゆかり(縁)だけで、武蔵野の草花がみんないとおしく身近に感じる)という歌から、「ゆかり(縁)」の色は、紫色、ということでつけられたそうだ。商品名の「ゆかり」は1999年9月に三島食品の商標として登録されている。
 ちなみに国内の赤しそ年間使用量は約6000〜7000トン。その約3分の1である2500トンを三島食品で使用。

・どうしてゆかりちゃん?
 さて。ナゼ私がゆかりふりかけを持って行くかというと、話のきっかけになるからだ。ユースの鍋で米を炊いて、変な紫色のものをかけて食べているアジア人に、必ずと言っていいほど「なにそれ?」と誰かが聞いてくる。「これ?ごはんのトッピング。」と言うと「へえ。」と興味深そうな目で見てくるので、「食べてみる?」と聞くと「いらない。」という。今まで「うん。食べてみる」と言った人はいない。確かに、何かわからないと、あの色は怖いかもしれない。

欧米のトッピング
 欧米でもトッピングはある。それはたいていデザートにするもので、例えば、コーヒーにホイップクリーム、ココアにホイップクリーム、なんでもかんでもホイップクリーム。アイスクリームにチョコレート、さらにその上にはカラフルな細かいチョコレート。「ゆかり」の紫色より、そっちのほうが怖い色だと思うのに、彼らは「おいしそ〜」と言っている。これも文化の違いといえるかもしれない。

 もうすぐクリスマス。最近では11月半ばごろからツリーを飾っているような所もある。クリスマスケーキの予約受付も11月半ばからすでに始めているところもある。ケーキを見るたび、生クリームのカラフルトッピングを思い出すのだった。