2005年8月1日
*世界の食卓から(第52回):廁

・カナダの
 
カナダ、アメリカではトイレでお金を払う必要はなかった。それはよかったのだが、驚いた事があった。トイレのドアの下が30cmくらい空いているのだ。ドアの下だけではなく、左右の下も空いていた。(もちろん全てのトイレがそういうものではない。)下が空いているかどうかなど関係なく、カナダ人はトイレの床に荷物を置く。ドアの下から荷物を持って行かれちゃったらどうするんだろう?といつも心配していた。

・トイレの床に?
 上の文を読んで「?」と思った方はおられただろうか?そう。トイレの床にものを置く?日本人は基本的にトイレの床には物を置かない。和式だ床が汚れている可能性があり汚いから、という考えの延長だと思うが、洋式トイレでも、トイレの床に物を置くことはない。カナダ人はトイレの床に物を置くことはなんとも思わないらしい。驚いた事に、ハンバーガーの袋を床に置いていたりする。「トイレの床に食べ物を置いて、汚いと思わないの?」と聞くと「え?どうして?紙に包んであるから大丈夫よ。」とのお答え。土足で家に入る人々には関係ないらしい。

・便器がない
 カナダでの留学を終え、日本に帰ってきた私が最初に下り立ったのは成田空港だった。トイレに行きたくなったのでトイレに行った。トイレのドアを開けてビックリ!なんと、便器がないじゃないの!と思って足元を見ると和式トイレだった。
ところでこの和式トイレ、外国人の目にはどう映っているのだろう。友人に聞いてみたところ、「日本人の女性はあれで足を鍛えてるのね」、とよく分からないお返事。どうやら、しゃがむ、ということをほとんどしない欧米人にとってあの姿勢をすることはとても難しいらしい。3年日本に住んでいた友人でさえ、「トイレでしゃがむのは不可能」と言っていた。

・音姫
 皆さんは「音姫」という機械を御存知だろうか?機械と言ってもただ、ボタンを押せば水の流れる音がするというだけのものだ。これで用をたしている時の音を周りに聞こえないようにする。これは非常に日本的な物だと思う。この機械についても友人に聞いてみたところ、「トイレは用をたす所なのだから、音がして当然。」とのことだった。確かにカナダで見た事はないし、ヨーロッパで高い(?)チップを払って入ったトイレでもあの機械を目にする事はなかった。韓国であの機械を見た時、妙に「おとなりさん」という親近感を覚えた。