2004年7月21日
*世界の食卓から(第18回):川床

 【食の散歩道:川床】
 第2回食の散歩道です。今回のお散歩は京都です。
「貴船の川床に行ってきた。」と言って通じるのは関西人同士だけのようです。
 
・貴船
 皆さんは京都の「貴船」という場所を御存知でしょうか?
 京阪電車の終着駅、出町柳から叡山電鉄に乗り、約30分。貴船口で下車すると、出町柳との気温の違いに驚きます。とってつけた自動改札を通り、361号線に沿って上り坂を進みます。361号線は道幅のわりに、貴船神社に向かう車の交通量が多く、注意して道の端っこを歩かなくてはなりません。上流の方に向かっていくと、貴船川に沿って、旅館や料亭が立ち並び、自然の中に京都の雰囲気が漂います。

・こんなに暑いのすき焼き・・・?
 私たちが今回訪ねたのは「伝兵衛」。5000円のすき焼きコースから予約を受け付けるとのことで、「こんなに暑いのにすき焼き・・・??」と思った私たちは予約なしで、「伝兵衛」に向かいました。11時半頃に着き、店で待ち時間を聞くと50分ほど、とのこと。名前を言い、待ち時間の間に貴船神社の本宮に行くことにしました。

・貴船神社貴船神社です。
 貴船神社では七夕の笹が飾られていて、たくさんの願いが書かれていました。具体的な願いを書く人から、「ほどよく」の4文字だけを書く人、たくさんの願いの込められた色とりどりの短冊。それぞれの願いが届きますように。こんな平和な国に生まれたことに感謝して。
こうやって水に浮かべると、文字が出てきます。 本宮では「水占おみくじ」という、独特のおみくじが売られていました。重ねてある紙の中から1枚を選び、境内の霊泉に浮かべると、おみくじの文字が浮かび上がってくるというものです。乾くと文字はまた消え、また濡らすと文字が現れます。当然、内容は変わりませんが。

・目指せ!川床料理!
 いい時間になったので、「伝兵衛」に戻りました。先に注文をして川床へ。川床とは、簡単にいうと、川の中に柱を刺して、その上に板をのせて床にした場所のことです。(関西に住む人はほとんど知っているようですが、関東の人には分かりにくいようです。)ですので、お店の人は料理を店から川床まで運ばなくてはなりません。よって料金は割高になります。
さて。案内されて、いざ川床へ。履物を脱いで、川床に座ると、すぐそばの小さな瀧から流れてきた水が、涼しさを運んでくれます。床から足を下ろし、川に浸すと、ひんやり気持ちいい。
 いままで、貴船の川床料理は高くて、手も足も出ない、と思っていたのですが、こちらの「伝兵衛」さんではお手ごろ価格で釜飯セットが川床でいただけます。2000円くらいで、釜飯、お吸い物、高野豆腐、小皿一品、香の物がつくのです。

・鴨川の川床とはえらい違い・・・寒い!
 しばらくすると釜飯が運ばれてきました。火が消えたら召し上がれます、とのこと。待っている間に、涼しいを通り越し、だんだん寒くなってきました。長袖のブラウスが必要なくらいです。その時初めてメニューに「すきやき」があった意味が分かったのでした。寒いと言いながら、待つこと約15分。ようやくいただけるようです。
これは五目釜飯セット。 蓋を開けると、いい香り。とり釜飯には、牛蒡と刻んだ生姜が入っています。五目釜飯は人参が入っていて色鮮やか。ご飯の量は結構多く、1合くらい入っているような気がします。小食の人が1人前食べるのは無理そうです。3人で2つくらい釜飯を注文して、後の1人は、とろろそば等、何か軽めなものを注文するといいかもしれません。(とろろそばには味付けとろろがかかっていて、これもおいしかったです。)

・満腹、満足、ありがとう伝兵衛さん
 どちらもおいしいですが、個人的にはとり釜飯がオススメです。生姜のきいた、あっさり味。お吸い物は少し味が濃かったように思いますが、家庭で作ったおすましの味がしました。デザートに(?)とろろそばをいただいて、ごちそう様でした。
 お店の人も大変、感じがよく、オススメのお店です。来年の夏も、貴船の川床に向かいたいな。