2004年4月11日
* 世界の食卓から(第8回):マクドナルド2

 マクドナルド社はアメリカ国内での肥満に対する警戒心などから炭酸ジュース・フライドポテトの特大サイズの販売を今年中に廃止することを決定した。この決定を消費者グループや医師団体は歓迎しており、他のファーストフード店でも販売を中止するように呼びかけているそうだ。

*悲しい文化
 専門家は「この10年、アメリカで肥満が飛躍的に増加したのは、特大サイズのファーストフードやカウチポテト(寝転んだまま、ポテトチップスなどを食べ、テレビを見ているごろごろとしたジャガイモのような人のこと)といった文化が大きな要因として考えられる」としており、公衆衛生局は「アメリカ人の30%以上が肥満状態で、心臓病、糖尿病、脳卒中などになる可能性が高い」と警告を発している。

*体をはった「ショー」
 今年のサンダンス映画祭で話題になった「Super Size Me」は1日3食、30日間マクドナルドの特大サイズのみを食し、12キロ体重が増えた上に、健康を害した、というドキュメンタリー映画である。実験台になった男優は「スーパーサイズにしますか?」と聞かれたら必ず同意しなくてはならない上、すべてを平らげなくてはならないという条件をこなした。
 その結果は、始めてわずか数日でハンバーガーを嘔吐するようになり、頭痛と鬱に悩まされ、性欲も減退し始めるという悲惨なもの。なんとか一ヶ月過ぎ去った時には12kg体重が増え、肝臓の検査結果は恐ろしいほど悪いもの。しかも、コレステロール値は165から230に増加。顔に斑点まで現れ始めたそうだ。撮影中は3人の医師が彼に付いていたそうだが、そんな肝臓になる前に止めてあげるのが医師の役目ではなかったのか・・・。
 これだけ悲惨な目にあった甲斐あって(?)、監督も兼ねた彼は映画祭でドキュメンタリー監督賞を獲得。
 そこまでして彼が訴えたかったものは何なのだろうか・・・。

*パンは太る?!これです。これです。
 最近、アメリカではパン抜きのハンバーガーが流行っている。炭水化物の摂取を減らしたダイエットの流行が後押しとなっているらしい。パンがなければどうやってハンバーガーを作るのか?という基本的な疑問が残るが、レタスで巻きつけた上に紙を巻けば、パンがなくても手で持って食べられるのだ。パンに挟まっていないハンバーグを手に持って食べる必要があるのか?とも思うが、箸を使えない人は手で持って食べたいらしい。
 「パン」以前に、なにか考える必要はないのだろうか・・・?色とりどりの炭酸飲料、バケツに入ったアイスクリームや、「食事の仕方」について・・・。

*人生で最後に食べたい物
 ちなみにアメリカのテキサス州で、死刑囚が最後に口にしたい人気の食べ物は「チーズバーガー」「フライドポテト」だそうだ。「ステーキ」「アイスクリーム」「フライドチキン」がそれに次いで人気らしい。

 そこまで食べたいファーストフード。肥満大国アメリカにおいて、そこまで肥満がはびこったのは、マクドナルドのせいか?ファーストフードのせいか?パンのせいか?自分自身で考えたりはしないのか?自分の意見は「正しい!」とはっきり言い、誰の責任かを追及する。そして、何もかも訴えた者勝ち。

*アメリカの栄養士は何をしているのか?
 アメリカでは栄養士は医師と一緒に病室を回り、治療に携わるほどの職業である。栄養士の地位は医師レベルだと聞く。日本に比べ栄養士の給料も高く、重要な職業であると世間から認められている。しかし、それは予防が追いつかず、治療に回らざるを得ない状況を表しているように思うのは私だけだろうか。食事の取り方に関する知識をほとんど持たない人々に、「食べ方」「食べる意味」を考えるように導いていかなくては、いつまで経っても、食べ方の後退国から脱出できない。「食べる」意識の薄さは「発展途上国」にもなっておらず、まさに「後退国」だ。食糧は限りなくあると思っているのだろうか?

*先進国?
 自称「世界警察」アメリカ。よその国の様々なことに口を出す前に自分の国を自分たちでなんとかしなくては、何の「先進国」なんだかわからない。
「戦進国」と言われないように頑張っていただきたい。そしてそれを確実に追っている日本。私たちは「大切なもの」「大切なこと」をよく考えて行動できる国民だと信じたい。

***念のために***
 すべてのアメリカ人にあてはまるわけではありません。「食べる」ことについてきちんと考えている人も、もちろんたくさんいますので、付け加えておきます。