2004年12月1日
*世界の食卓から(第30回):ベジタリアン

 私はベジタリアンではないが、野菜のない生活には耐えられない。ここ少し前の野菜の値段の上がりようは、かなり辛かった。キャベツが1個600円、というのを見た時は言葉を失った。お好み焼き屋さんはかなり苦労されたであろう・・・。ようやく、値段が下がってきて、「大根100円」なんていう表示を見るとホッとする。

ホームステイ先での野菜不足。
 第一回の「Canadian food life」でお話したように、ホームステイ先での食事は野菜のないものだった。その食事について学校の先生(彼女の名はリビー)に相談したところ、彼女はベジタリアンバーに連れて行ってくれた。日本でいうサラダバーで、そこで持ち帰りもできる、というのを想像してもらえれば近いかもしれない。大中小の入れ物にサラダを盛り、それでいくら、という支払方法。スープも同じ方法。必要であればパンも買う。肉の代わりに大豆製品が置かれていたように思う。その場で食べてもいいし、持って帰ってもいい。

・ベジタリアンの種類?
 リビーはベジタリアン。欧米のベジタリアンには種類(?)があって、日本でいう本当の「菜食主義」という人と、「肉を食べないだけで魚や卵は食べる」、という人と、「牛肉は食べない」という人がいたように思う。後者の二つは日本ではベジタリアンとは言わないんじゃない?と思うが、後者のベジタリアンが多かったように思う。ちなみにイギリス人の友人もリビーもこのタイプのベジタリアンだった。ベジタリアンになる理由は様々だが、宗教上の理由、肉が嫌いという以外に、「世界のあらゆる国で食料不足がいわれている中、牛・豚肉の牛・豚を育てるのにかかる面積は広い。その面積の分、農作物を作った方が少しでも多くの人に食料がいきわたる。」という理由の人も私の周りにはいた。その人が肉を食べないことによって、一人の飢餓状態の人を救えるかというと疑問だが、その理由なら魚や卵は食べるという理屈は理解できる。日本人の「菜食主義者」とは違うように思う。

・日本では見かけない「ベジタリアンメニュー」
レストランには「ベジタリアンメニュー」が必ずあって、当然だが肉は入っていない。日本にはベジタリアンバーもなければ、ベジタリアンメニューもない。なぜか?日本では、もともとメニューには野菜のみのものも多く、あえて「ベジタリアンです」と言わなくても自分でメニューを選べばいいだけの話だからだ。しかし、欧米の場合、「ベジタリアンです」と言わなければ、野菜だけを食べるなんて不可能。そこであえて「ベジタリアンメニュー」を作る必要がある。ここでも日本人の野菜摂取量の多さが伺える。多種多様の野菜の調理法を知っている日本人。おいしく野菜を食べる方法を知っている。


 リビーはその後も何度か、そのベジタリアンバーに連れて行ってくれた。彼女は先生というより友達で、私のカナダでの生活を支えてくれた。彼女はボートに彼氏と一緒に住んでいて、よく食事にも招待してくれた。そのボートで現在太平洋横断中。のはず。「日本についたら連絡するね。」と言っていた彼女の連絡を待っている。