2004年6月11日
*世界の食卓から(第14回):24カ国で一番おいしかったもの

 ドイツ、オーストラリア、カナダ、アメリカ、メキシコ、シンガポール、ギリシャ、イタリア、バチカン、モナコ、フランス、ベルギー、ルクセンブルグ、オランダ、スイス、デンマーク、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、イギリス、台湾、オーストリア、チェコ、ハンガリー。私が今まで旅した国である。
ほとんどは一人旅で、いつもたくさんの現地の人に助けられながらの旅である。 どの国の人もとても親切で、いつも感謝しながらの旅となる。

・いろんな所で
 メキシコに行った時は、お店屋さんのおじさんに「アメ横より安いよ!」(私、アメ横知らないし・・・)とか「お姉さん、綺麗ね。鈴木保奈美ね。」(有難いけど、ちょっと古いし)などとわけの分からないことを話しかけられ、治安の悪さにそそくさと帰ってきてしまった…。
 ベルギーではどこかを探している私を見て、英語を話せない人でも話しかけてくれたし、台湾なんて、困っているとすぐに人が集まってきて、お弁当をくれたり、バス代を出してくれたり…。
 ドイツではガイドブックを開けただけでたいてい、近くにいる人が「どこにいきたいの?」と話しかけてくれた。(西ドイツと東ドイツの違いはあるけど)。
 イギリスではスーパーで道を尋ねていると「そこ、ここから近いし知ってるから連れて行ってあげる。」と言ってくれて、連れて行ってくれ、別れ際に「名前だけでも。」と聞くと「名前なんていいわよ。あなたがイギリスでステキな時間を過ごしてくれればいいから。」なんてことを言われたこともある。
 今まで無事に旅行してきたのもそんな親切な人々が助けてくれたからだと、とても感謝している。その恩返しをすべく、日本では迷っている外国人の方がいると、話しかけるようにしている。

・イタリアのイタリアン
 なんだか食習慣とは全然違う話しになってしまった。そう。これだけの国に行って、何が一番おいしかったか。もちろん他のヨーロッパ諸国の料理に比べてイタリア料理はおいしかった。が、そこには付け足しがある「値段の割には」だ。値段のわりにおいしい、というだけで、日本のレストランのイタリア料理は負けていないと私は思う。私が旅行した時はまだ、イタリアの通貨は「リラ」で、ピザが一枚700円くらいだった。それは700円、しかもイタリアの風景を見ながら食べている、と思うからおいしいのであって、同じ物を日本で2500円で食べるとおいしいか不明だ。ジェラートもおいしかったが、これも「値段の割りに」という一言がつく。味だけ考えれば日本でも充分おいしいものが食べられる。

・しゃけ?
鮭を買った、フィンランドのスーパー では何がおいしかったか。ドイツのフランクフルトもビールも、ベルギーのチョコレートも、スイスの水も、台湾の小龍包も、カナダのメイプルアイスクリームもおいしかったが、私の中の一番は「フィンランドの鮭」。日本ではあまりなじみのない響きだ。べつに高級レストランで食べたわけではない。ロバニエミという北極圏の街のスーパーで買ってきて、自分でバター焼きしたものだ。これは素晴らしくおいしかった。スーパーで必要なグラムを言って、切ってもらったものだ。ちゃんと「尾の方と頭の方と、どっちがいい?」と聞いてくれた。付け足しておくが、料理人が素晴らしかったわけではない。素材の味が素晴らしかったのだ。口の中でとろけるような鮭を食べた時「今まで私が日本で食べていた鮭は一体なんだったの?」と言ってしまった。でも、フィンランドで食べただけで、実はノルウェーサーモンといわれているものだったのかは定かではない。

・味は心なり
 さて。「一番」と聞かれたので鮭の話をしたが、もちろん、「おいしい」という感覚は人によって違う。お腹がすいていれば、何でもおいしいし、お腹がいっぱいなら、どんなごちそうも見るのも嫌になるものだ。おいしさというものは、その時の状況、値段、そして、誰と食べたか、誰が作ったか、などによって左右されるものである。
 何が「一番」かは、ご自分で確認することをお勧めしたい。「おいしさ」はその人の心が決める。

台湾のスーパーで見つけたお菓子。
台湾では不思議な日本語が多々使われている。
左上には「ナチコラル」…。
右下には「春の山野べ道が情景を彷彿させます」…。
何が言いたいのか??
***念のために***
 ここでは「海外で食べたもので、おいしかったもの」を挙げていますので、日本で食べた物については記載していません。