オピオイドの役割とは?


麻薬系鎮痛薬(オピオイド)はがんの疼痛治療の第二〜第三段階において使用することができる薬です。痛みの強さに応じて使用される鎮痛剤が決められていきます。第一段階の薬に弱いオピオイドを追加していくのが第二段階になり、第1段階の薬に強いオピオイドを追加していく方法が第三段階となります。この方法で疼痛が残っている場合などはレスキュー(臨時薬)を追加で一時的に投与していくことができます。


代表的なオピオイドの種類について


薬剤名 製品名 一般名 説明
硫酸
モルヒネ
MSコンチン錠 硫酸
モルヒネ
徐放錠
MSコンチンは一日二回の服用で鎮痛効果を維持することができます。食事による影響を受けないので
自分の決めた時間(12時間おき)で服用できる。服用してから吸収が開始されるまで一時間程度かかっ
てしまうのでレスキューでの使用は賢明ではありません。著しい便秘や下痢では効果が弱まってしまう
ことがあります。長時間にかけて吸収されていくように作られている錠剤なので噛み砕いたりすることは
非常に危険なのでしてはならない。
副作用として嘔気や便秘が生じるので吐き気止めや下剤の使用をすることが必要です。
モルペス細粒 硫酸
モルヒネ
徐放性細粒
モルペスは細粒ですが12時間ごとの投与で鎮痛効果が維持することができる徐放性の細粒です。
この薬は甘味料でコーティングされているので内服時に苦味を感じることがありません。またジュースや
流動食などに混ぜても20分程度であれば徐放製に影響しないとされています。
モルペスはモルヒネの開始薬として使用可能ですがレスキュー時は他の薬剤を使用しなければなりま
せん。
副作用として嘔気や便秘が生じるので吐き気止めや下剤の使用をすることが必要です。
MSツワイスロン 硫酸
モルヒネ
徐放性カプセル
カプセル剤ですが中身の顆粒のみを服用することも可能です。一日2回12時間ごとの服用で鎮痛効果
を維持することができます。
副作用として嘔気や便秘が生じるので吐き気止めや下剤の使用をすることが必要です。
カディアン 硫酸
モルヒネ
徐放性製剤
カディアンは一日一回の投与で鎮痛が可能なモルヒネ製剤です。海外では一日2回の投与法も認めら
れているようです。一日一回の投与回数は非常に便利ですが吸収が非常に緩慢なので服用後6時間
以上かかるようである。
副作用として嘔気や便秘が生じるので吐き気止めや下剤の使用をすることが必要です。
塩酸
モルヒネ
塩酸モルヒネ末 塩酸
モルヒネ末
モルヒネ・オキシコドン・フェンタニルの何れによる鎮痛治療中に生じた突出痛にもレスキュー(臨時薬)
として使用することができる薬です。吸収が速やかで30分程度で最大の鎮痛効果が得られるとされて
います。モルヒネ末はモルヒネ独特の強い苦味があり内服を嫌われることや嘔気を誘発することがあ
ります。
塩酸モルヒネ錠 塩酸
モルヒネ錠
モルヒネ・オキシコドン・フェンタニルの何れによる鎮痛治療中に生じた突出痛にもレスキュー(臨時薬)
として使用することができる薬です。吸収が速やかで30分程度で最大の鎮痛効果が得られるとされて
います。
オプソ 塩酸
モルヒネ
内服液
モルヒネ・オキシコドン・フェンタニルの何れによる鎮痛治療中に生じた突出痛にもレスキュー(臨時薬)
として使用することができる薬です。吸収が速やかで30分程度で最大の鎮痛効果が得られるとされて
います。オプソはソルビドールやアミノ酸を添加させてモルヒネの苦味をほぼ消失させておりそのまま
飲むことができます。3年間にわたる長期保存が可能で携帯しやすく便利です。
アンペック坐剤 塩酸
モルヒネ
坐剤
アンペックは即効性のモルヒネ坐剤ですが8時間ごとの定期投与での鎮痛も可能です。吸収が速やか
であるのでレスキューとして使用できます。
塩酸モルヒネ注 塩酸
モルヒネ
注射液
持続皮下注や、持続静注などに使用されます。吸収開始が血管内投与であるので投与後すぐに効果
を発揮します。
プレペノン注射液
塩酸
オキシコドン
オキシコンチン錠 塩酸
オキシコドン
徐放錠
オキシコンチンは一日2回の投与で鎮痛効果を維持することができます。内服から吸収開始まで10〜
15分程度で鎮痛効果の発現は比較的速やかです。
オキシコンチンは低容量(5mg)では第2段階から使用可能です。またレスキューとしては使用できずレ
スキューにはモルヒネ製剤を使用します。
副作用として嘔気や便秘が生じるので吐き気止めや下剤の使用をすることが必要です。
嘔気などの副作用はモルヒネよりも少ないようです。)
パビナール注 複方
オキシコドン
注射液
パビナールは塩酸オキシコドン8mgと塩酸ヒドロコタルニン2mgを含有する注射液です。
オキシコンチンを使用している例でモルヒネを使用することができない場合はパビナールをレスキュー
として使用することができるとされています。
フェンタニル デュロテップパッチ 経皮吸収型
フェンタニル
製剤
デュロテップは72時間(3日間)ごとの張替えで鎮痛効果が維持することができます。このパッチの鎮痛
効果は大きさで決まります。使い方に非常に注意が必要です。
このパッチは使用後も3〜4割程度の薬剤が残っているので小児などの手の届かないところにおいてお
くようにしないと、万一かじってしまった場合には致死的なので大変危険です。
フェンタネスト クエン酸
フェンタニル
注射液
フェンタネストはがん疼痛治療上欠かせない剤形なのに保険上使えない薬です。フェンタニルはモルヒ
ネに比べて嘔気・嘔吐・便秘・眠気の頻度が少ないです。肝で代謝されるため腎不全患者でも使用で
きます。
リン酸
コデイン
リン酸コデイン原末 リン酸
コデイン原末
リン酸コデインは第2段階での使用ができる薬剤です。コデインの原末と10倍散が麻薬として管理され
ます。コデインは内服後約30分で鎮痛効果が現れます。鎮痛維持には4時間ごとの投与が必要となり
ます。
コデインの鎮痛効果はモルヒネの約1/10に相当します。
リン酸コデイン散 リン酸
コデイン散
リン酸コデイン錠 リン酸
コデイン錠
リン酸
ジヒドロコデイン
リン酸ジヒドロコデイン原末 リン酸
ジヒドロコデイン
原末
リン酸ジヒドロコデインはリン酸コデインと同等の鎮痛効果と効果時間を持っていますが、鎮咳効果に
おいては約2倍の効果を発揮します。難治性の咳を伴っている場合にはこちらがお勧めのようです。
リン酸ジヒドロコデイン散 リン酸
ジヒドロコデイン